「ヨルダンに行ってきた!」と言うと、
「え、中東って危なくないの?」
「イスラエルのすぐ隣だよね?」
「戦争とか大丈夫なの?」
との心配の声を沢山いただきました。
私自身、ヨルダンを旅する前は正直自分も同じようなイメージを持っていました。
でも実際に行ってみると、その印象はかなり変わりました。
街を歩いていると、「Welcome to Jordan!」と何度も声をかけてもらったり、
お店ではこれでもかというくらいサービスしてくれたり。
「こんなに周りで紛争が起きてきた地域なのに、なぜヨルダンは比較的安定しているんだろう?」
と疑問に思いました。
調べてみると、そこにはヨルダンという国が長年続けてきた、かなり興味深い外交と歴史がありました。
そもそもヨルダンはどこにある?
ヨルダンは中東に位置する国です。
周辺を見ると、
・西:イスラエル、パレスチナ自治区
・北:シリア
・東:イラク
・南・東:サウジアラビア
という位置。

地図を見ると、
「いや、むしろめちゃくちゃ緊張感のある場所にあるやん!」
と思ってしまうほどです。
北のシリアでは2011年から長期間にわたって内戦が続き、
東のイラクでも戦争やISISの台頭があり、西側ではイスラエル・パレスチナ問題が続いています。
そんな場所にありながら、ヨルダンは周辺諸国と比較すると長期間にわたって国家としての安定を維持してきました。
理由①「敵を作りすぎない」外交を続けてきた
ヨルダンの安定を考えるうえで、とても重要なのが外交です。
ヨルダンは中東の国でありながら、欧米諸国とも強い関係を築いてきました。
特にアメリカとは長年にわたって安全保障面で協力しています。
一方で、アラブ諸国との関係も維持し、
パレスチナ問題では「二国家解決」を支持するなど、地域内でも外交的な役割を担っています。

つまり、
どこか一方だけに極端に寄るというより、周辺国と大国の間でバランスを取りながら生き残ってきた国
とも言えます。
中東のど真ん中という難しい場所にあるからこそ、
戦うことよりも「外交によって国を守る」ことを非常に重視してきたんですね。
理由② イスラエルと正式に平和条約を結んでいる
実はヨルダンは、1994年にイスラエルと平和条約を締結しています。
それ以前はイスラエルとヨルダンも対立関係にありました。
しかし1994年10月26日、両国は正式に平和条約を締結。
国境を認め、互いの主権を尊重し、武力ではなく平和的な方法で問題を解決することなどを取り決めました。
現在のイスラエル・パレスチナ情勢を見るとヨルダン国内にも非常に複雑な感情がありますし、
ヨルダン政府もイスラエルの政策を批判することがあります。

つまり、「イスラエルと何でも仲良し」というわけではありません。
それでも正式な平和条約が存在し、
直接戦争を避ける枠組みが30年以上維持されていることは、ヨルダンの安定を考えるうえで大きなポイントです。
理由③ アメリカなどから強力な支援を受けている
もう一つ大きいのが、ヨルダンの国際的な立ち位置です。
ヨルダンはアメリカにとって、中東における重要なパートナーの一つ。
軍事・情報・テロ対策など、さまざまな分野で協力してきました。
さらにヨルダンは石油などの天然資源が豊富な国ではなく、
経済的には外国からの支援への依存度が高い国でもあります。
そのためアメリカだけでなく、湾岸のアラブ諸国などからも長年支援を受けています。

言い換えると、
ヨルダンが安定していること自体が、周辺諸国や欧米にとっても重要。
シリア、イラク、イスラエル・パレスチナなどに囲まれたヨルダンまで不安定になれば、
中東全体への影響がさらに大きくなります。
だからこそ国際社会にとっても「ヨルダンの安定を支える理由」があるんです。
理由④ 治安・国境管理にかなり力を入れている
ヨルダンは外交だけで平和を維持しているわけではありません。
治安機関や情報機関も強く、テロ対策や国境警備に力を入れています。
特にシリアやイラクでISISが勢力を拡大した時期には、ヨルダンにとっても大きな脅威となりました。
そのためアメリカなどとも協力しながら、テロ組織への対策や国境管理を続けてきました。

つまり、
「周りが危険なのに、なぜか偶然平和だった」わけではなく、
周辺情勢が不安定だからこそ安全保障に力を入れてきた という側面があります。
理由⑤ 難民を大量に受け入れてきた国でもある
そしてヨルダンについて知って驚いたことの一つが、難民の多さです。
シリア戦争やイラク戦争などが起こるたびに、多くの人がヨルダンへ避難してきました。
UNHCRによると、ヨルダンは人口に対する難民の割合が世界でも特に高い国の一つです。
2026年8月末時点でも、UNHCRに登録されている難民は約36万6,000人。
これとは別に、ヨルダンには多くのパレスチナ難民も暮らしています。

つまりヨルダンは、
周辺国の戦争から逃げてきた人たちを受け入れる側になってきた国でもあります。
中東で起きてきた数々の紛争と無関係だったわけではありません。
むしろ、その影響をかなり大きく受けながら、それでも国内の安定を維持してきた国なんです。
じゃあヨルダンは「絶対安全」なの?
ここは誤解しないように書いておきたいところ。
ヨルダン=絶対に安全、というわけではありません。
周辺地域では現在も情勢が変化していますし、テロのリスクが完全にゼロになったわけでもありません。
実際、2024年にはヨルダン北東部の米軍拠点がドローン攻撃を受け、米兵3人が死亡する事件も起きています。
またイスラエル・パレスチナ情勢やシリア情勢など、
周辺国の出来事によってヨルダン国内の状況が影響を受ける可能性もあります。

旅行するときは「ヨルダンは平和だから大丈夫」と決めつけるのではなく、
その時点での外務省の海外安全情報などを必ず確認してください。
実際に旅して感じたのは「怖い中東」ではなく、人の温かさだった
私がヨルダンを旅して一番印象に残ったのは、遺跡でも砂漠でもなく、ヨルダンの人たちでした。
もちろん、
ペトラ遺跡、ワディラム砂漠、死海も忘れられないです。
でも、それ以上に記憶に残っているのが人の温かさ。
街を歩いているだけで、「Welcome to Jordan!」何回言われたかわからないくらい声をかけてもらいました。
最初は、「このあと何か売られるのかな?」なんて少し警戒していた私(笑)。
でも、本当にただ歓迎してくれているだけのことも多くて。
お店でもたくさんサービスしてくれたり、困っていたら助けてくれたり。
旅をする前に私が持っていた、「中東=危険そう」という大きなくくりだけでは、
この国のことは全然分からないんだなと思いました。
「中東だから危険」ではなく、その国を知ること
ヨルダンが比較的安定している理由を調べてみると、
① 周辺国とのバランスを重視した外交
② イスラエルとの平和条約
③ アメリカや湾岸諸国など国際社会からの支援
④ 強い治安・国境管理
⑤ 周辺の紛争を受け止めながら国内の安定を維持してきた歴史
など、いくつもの要因が重なっていることが分かります。
もちろんヨルダンにも政治・経済・水不足・難民問題など、たくさんの課題があります。
それでも、
シリア、イラク、イスラエル・パレスチナという世界でも特に複雑な地域に囲まれながら、
比較的安定した国家を維持してきた。
それは決して「たまたま平和だった」という単純な話ではありませんでした。
そして実際に旅してみて私が感じたのは、
国や地域をイメージだけで判断するのは、やっぱりもったいないということ。
実際にその土地を歩いて、人と話してみると、
そのイメージが良い意味で壊されることがあります。
だから私は旅が好きなのかもしれません。
ヨルダンは、そんなことを改めて感じさせてくれた国でした。
ぜひ、私のYouTubeで一緒にヨルダンを旅してみませんか?
世界まき より

