ヨルダンといえば、ペトラ遺跡と並んで有名なのがワディ・ラム砂漠(Wadi Rum)。
赤い砂漠に、突然そびえ立つ巨大な岩山。
「スター・ウォーズの世界みたい!」なんて言われる場所ですが……
実は私、行くまでワディ・ラムについてほとんど何も知りませんでした(笑)
「ヨルダンにある有名な砂漠」「映画の撮影地になったところ?」本当にそのくらい。
でも実際に訪れてみると、
ジープで赤い砂漠を走ったり、
裸足で砂丘を歩いたり、
何千年も前の人々が残した岩絵を見たり、
砂漠で暮らすベドウィンの人たちとお茶を飲んだり、
砂の中から夕食が出てきたり……。
ただ「砂漠を見る」だけではない場所でした。
今回は、実際にワディ・ラムで1泊した私が、
「行く前に知っていたら、もっと面白かった!」
と思った歴史や豆知識と一緒に、実際の旅の様子を紹介します。
ワディ・ラム砂漠ってどこにあるの?

ワディ・ラムは、ヨルダン南部、サウジアラビアとの国境に近い場所に広がる砂漠地帯。
首都アンマンからは車で約4時間。
ペトラ遺跡からさらに南へ向かうルートで訪れる旅行者も多く、その先には紅海沿岸の街アカバがあります。
私も今回は、
アンマン → ペトラ → ワディ・ラム → 死海を2日間で巡るツアーに参加しました。
ワディ・ラム保護区の面積は約74,200ヘクタール。
東京23区よりも広い!
そして2011年には、「ワディ・ラム保護区」としてユネスコ世界遺産に登録されています。
「Wadi(ワディ)」ってどういう意味?
そもそも名前にある「Wadi(ワディ)」。
アラビア語で、谷や、雨が降ったときに水が流れる涸れ川のような地形を意味します。
ワディ・ラムに到着してまず驚いたのが、
「私が想像していた砂漠と全然違う!」ということ。
サハラ砂漠のように砂丘が永遠に続いているのかと思っていたら……
砂の大地から、
巨大な岩山がドーーーン!と立ち上がっています。
砂丘だけではなく、
巨大な砂岩の山、切り立った崖、狭い峡谷、天然の岩のアーチなど、地形がとにかくダイナミック。
だからジープで走っているだけでも景色がどんどん変わります。
ワディ・ラムの砂は、なぜこんなに赤い?

ワディ・ラムを象徴するのが、赤〜オレンジ色の砂と岩。
この赤色には、岩石などに含まれる鉄分の酸化が関係しています。
簡単にいうと、
鉄が酸素と反応して錆びる → 赤茶色になるということ。
鉄が錆びると赤くなりますよね。
それと似た現象によって、ワディ・ラム独特の赤い世界が生まれています。
青空とのコントラストが本当に綺麗!
どうやってこんな巨大な岩山ができたの

ワディ・ラムを歩いていると、
「なんで砂漠のど真ん中に、こんな巨大な岩があるんだろう?」と思います。
これらの地形を作ったのは、
何百万年という時間をかけた地殻変動と侵食・風化。
隆起した岩盤が、風や水、気温変化などによって少しずつ削られていきました。
その結果、
巨大な岩壁や峡谷、天然のアーチなど、現在の不思議な地形が生まれています。
つまり、ワディ・ラムそのものが
地球が何百万年もかけて作った巨大な彫刻作品。
そう考えると、岩山を見る目もちょっと変わります。
4WDに乗って、砂漠の中へ!
ワディ・ラム観光の定番が4WDジープツアー。
私が参加したツアーには、約2時間のジープツアーが含まれていました。
舗装された道路を走るわけではありません。
壮大な砂漠をそのまま走っていきます!
靴を脱いで、裸足で砂漠を歩いてみた
現地人に勧められ裸足で砂漠を歩いてみました!
靴越しでは分からない、細かくて柔らかい砂の感触。
車で走り抜けるのとはまた違って、
「あ、本当に今、砂漠にいるんだ」と実感します。
ただし日中の砂や岩はかなり熱くなることもあるので、裸足になるなら温度を確認してからがおすすめです(笑)
朝と夕方は心地よく、日中は火傷するかと思うほどでした、、、、、でもいい思い出。
天然の岩の橋「Little Rock Bridge」へ
ジープツアーで訪れた場所のひとつが、
Little Rock Bridge(リトル・ロック・ブリッジ)。

その名前の通り、岩が自然に削られてできた天然の橋です。
しかも……この上に登れます!
実際に立ってみると、後ろには赤い砂漠と巨大な岩山。
人間が作ったわけでもないのに、こんな綺麗なアーチが残っているのが不思議。
写真スポットとしても最高でした。
実は約1万2000年前から人がいた!

ここからが、私がワディ・ラムについて調べて一番驚いたところ。
こんな何もない砂漠なのに、
少なくとも約1万2000年にわたって、人間がこの地域と関わってきた痕跡が残っています。
ワディ・ラムでは、
約25,000点の岩絵と約20,000点の碑文が確認されています。
人間や動物、狩猟などを描いたものから、さまざまな時代の文字まで。
それらを調べることで、人々の生活や文字がどのように変化していったのかを知ることができます。
実はこれこそが、ワディ・ラムが「文化」の面でも世界遺産になっている大きな理由のひとつです。
その痕跡が残る「Khazali Canyon」を訪れる
そして私がジープツアーで訪れたのが、
Khazali Canyon(ハザリ/カザリ峡谷)。
巨大な岩山にできた細〜い裂け目の中へ入っていきます。
両側を巨大な岩壁に挟まれながら進んでいくのですが、
場所によっては、「ここ通れる!?」と思うくらい狭い(笑)
でも、この峡谷が面白いのは狭さだけではありません。
岩壁には、昔ここを訪れた人々が残した岩刻画(ペトログリフ)や碑文を見ることができます。
私が訪れたときも、入口には岩絵や碑文について説明する看板がありました。
何千年も前にも誰かがこの場所に立って、
この岩に何かを残した。
その同じ場所を自分が歩いていると思うと、不思議な感覚でした。

ペトラを築いた「ナバテア人」もここにいた
ペトラを訪れた後だからこそ面白いのが、この話。
実はワディ・ラムにも、ペトラを築いたナバテア人の痕跡が残っています。
ナバテア人は、砂漠を横断する交易ネットワークを築き、水が少ない環境で暮らすための技術にも長けていました。
ワディ・ラム周辺にも、碑文や宗教施設、水に関係する遺構などが残っています。
砂漠で暮らしてきた「ベドウィン」とは?
ワディ・ラムを語るうえで欠かせないのが、
ベドウィン(Bedouin / Bedu)。
中東や北アフリカの砂漠地域で、伝統的に遊牧生活を営んできた人々です。
ラクダや家畜とともに移動しながら、
厳しい砂漠環境で生活するための知識や文化を何世代にもわたって受け継いできました。
現在では生活様式も大きく変化していますが、ワディ・ラムには今もベドウィンの文化が残っています。
さらに、「ペトラとワディ・ラムのベドゥの文化的空間」はユネスコ無形文化遺産にも登録されています。

砂漠のど真ん中で、お茶をいただく
ジープで砂漠を走っている途中、
ベドウィンのテントにも立ち寄りました。
周りには赤い砂と岩山しかありません。
なのに砂丘の下には突然テントがあって、
中に入ると絨毯やクッションが敷かれた空間が広がっていました。
そこでいただいたのが、お茶。
ヨルダンを旅していて何度も感じたのですが、
ここでもやっぱり「客人を迎える文化」が印象に残りました。
砂漠のど真ん中で、初めて会った人たちと一緒にお茶を飲む。
有名な観光地を見るのとはまた違う、こういう何気ない時間も旅の面白さです。
「ここでは結婚するのも早いらしい」
ベドウィンの人たちと話していて面白かったのが、結婚の話。
現地で聞いた話によると、この辺りでは若いうちに(16歳で)結婚する人も多いのだとか。
ワディ・ラムはあの有名な映画の撮影地
そしてワディ・ラムといえば、映画のロケ地。
赤い砂と巨大な岩山。
植物も建物もほとんどない景色は、地球とは思えないほど。
実際、ワディ・ラムはさまざまな映画で、宇宙や異世界の風景として使われてきました。

特に有名なのが、
『オデッセイ(The Martian)』。
作中ではなんと、火星として登場します。
ほかにも『スター・ウォーズ』シリーズの撮影地として使われています。
実際にその景色の中に立ってみると、地球って感じがしないのも事実。
ワディ・ラムには映画だけではなく、近代史とのつながりもあります。
それが、T.E.ロレンス(アラビアのロレンス)。
第一次世界大戦中、オスマン帝国に対するアラブ反乱に関わったイギリス人です。
アラブ反乱の部隊はワディ・ラム周辺を通り、この地域にも彼に関連付けられた場所があります。
さらに1962年の映画『アラビアのロレンス』によって、
ワディ・ラムの壮大な砂漠のイメージが世界中に知られるようになりました。
今夜は砂漠に泊まります!

この日はそのままワディ・ラムのベドウィンスタイルのキャンプに宿泊!
巨大な岩山のすぐ下に、黒と白の縞模様のテントがずらーっと並んでいます。
私が参加したツアーは、1泊+夕食+翌朝の朝食付き。
日帰りでもワディ・ラムを見ることはできますが、個人的にはせっかくなら1泊するのがおすすめ。
というのも、太陽が沈んだ瞬間から砂漠の雰囲気が一気に変わるから!!!
え!?砂の中から夜ご飯が出てきた!
そして夜。
スタッフさんたちが地面の砂を掘り始めました。
「何してるんだろう?」と思って見ていると……

砂の中から巨大な料理が登場!!
これはザルブ(Zarb)と呼ばれる、ベドウィンの伝統的な調理法。
肉や野菜などを金属製のラックに載せ、地面に掘った穴の中でじっくり蒸し焼きにします。
言ってしまえば、砂漠の地下オーブン。
普通にレストランで料理が運ばれてくるのとは全然違って、
夕食が出てくる瞬間までひとつのイベントでした(笑)
焚き火を囲んで過ごす、砂漠の夜

昼間は青空と真っ赤な岩山だったワディ・ラム。
でも日が沈むと、
巨大な岩山は真っ黒なシルエットに変わります。
キャンプでは焚き火を囲みながら、ゆっくり過ごしました。
街の明かりも、車の音も、日本で毎日聞いているような生活音もない。
昼間の「壮大な砂漠」とはまた違って、、、
夜空に輝く星に照らされ、落ち着きのある空間が広がっていました。
「砂漠=暑い」とは限らないので注意!
ちなみに旅行前に覚えておきたいのが、砂漠は昼と夜の寒暖差が大きいということ。
「砂漠だからずっと暑いでしょ!」と思って薄着だけで行くのはおすすめしません。
季節によっては夜かなり冷えます。
キャンプ泊するなら、羽織れる上着を1枚持っていくと安心。
逆に昼間は日差しがかなり強いので、
帽子、サングラス、日焼け止め、水、歩きやすい靴は必須です。
私が参加したワディ・ラムのツアー
私はGetYourGideの
「Amman: Petra, Wadi Rum, and Dead Sea 2-Day Tour」というアンマン発の2日間ツアーに参加しました。
内容は、
- アンマンから送迎
- ペトラ観光
- ワディ・ラムで約2時間のジープツアー
- ベドウィンスタイルのキャンプ1泊
- 夕食
- 朝食
- 翌日に死海
という流れ。
私が選んだSmall Group Tourでは、
ペトラやワディ・ラムの入場料、現地ガイド、死海のリゾート利用料などは別料金でした。
ちなみにヨルダンに2泊以上するなら、
ペトラやワディ・ラムなどの入場料と観光ビザ代がセットになった
Jordan Passもあるので、旅行前に料金を比較してみるのがおすすめです。
ワディ・ラムを訪れる前に知っておきたかったこと
最後に、私が実際に行ってみて「先に知っていたらもっと面白かった!」と思ったことをまとめます。
ワディ・ラムは、ただの赤い砂漠ではありません。
何もないように見える空間には、
地球と人間のものすごく長い歴史と、今ここで暮らしている人たちの日常がありました。
ペトラだけでもヨルダンまで来る価値は十分あります。
でも、もし時間があるなら、ぜひもう少し南へ。
「月の谷」とも呼ばれるワディ・ラムで、一晩過ごしてみてください。
きっと、「砂漠」のイメージが変わると思います。
私と一緒に世界を旅しませんか?YouTubeでお待ちしています!
世界まき より

